肩こりに伴う腕のしびれの原因は?考えられる病気と対処法を解説
つらい肩こりと同時に腕にしびれを感じると、何か重大な病気ではないかと不安になるかもしれません。
腕のしびれを伴う肩こりは、単なる血行不良だけでなく、首の骨や神経の圧迫が原因で起こる場合があります。
症状の裏には病気が隠れている可能性もあるため、原因を正しく理解することが重要です。
この記事では、肩こりと共に腕にしびれが現れる場合に考えられる原因や病気、自分でできる対処法について解説します。
肩こりと腕のしびれはなぜ同時に起こるのか?

肩こりと腕のしびれが同時に起こる主な理由として、首から腕にかけての神経や血管が圧迫されることが挙げられます。
特に、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用など、不適切な姿勢を続けると、首や肩甲骨周りの筋肉が過度に緊張しがちです。
この筋肉の緊張が、血管を収縮させて血行不良を引き起こし、周辺の神経を圧迫することで、肩の重さや痛みだけでなく、腕や手にかけてのしびれという症状が現れるのです。
例えば、猫背のような姿勢は、首の湾曲を失わせ、神経が通るスペースを狭める原因となります。これにより、末梢神経に負担がかかり、しびれが生じやすくなります。
【セルフチェック】肩こりや腕のしびれを引き起こす病気の可能性

肩こりや腕の痺れは、筋肉の疲労だけでなく何らかの病気のサインかもしれません。
例えば、首を動かしたときに腕への痛みが強まる、頭痛やめまいを伴う、指先まで痺れが広がるなどの症状がある場合は注意が必要です。
これらの症状は、整形外科的な問題や神経の圧迫が原因である可能性を示唆しています。
セルフケアで改善しない場合は、自己判断せずに専門医へ相談することが求められます。
首の骨(頸椎)が原因で起こる病気
首の骨である頸椎に問題が生じると、肩こりや腕のしびれが引き起こされることがあります。代表的な病気として、頸椎椎間板ヘルニアや変形性頸椎症が挙げられます。
これらは、加齢などにより椎間板が突出したり、骨が変形して神経を圧迫したりすることで発症します。
症状は、圧迫されている神経の部位によって異なり、右腕だけ、あるいは左腕だけに強いしびれや痛みが出ることがあります。
首を後ろに反らすなどの特定の動きで症状が悪化するのも特徴です。進行すると握力が低下したり、細かい作業が困難になったりする場合もあるため、違和感が続く場合は早期に医療機関を受診しましょう。
首と腕の間で神経が圧迫される「胸郭出口症候群」
胸郭出口症候群は、首から腕へつながる神経や血管が、鎖骨や肋骨周辺の「胸郭出口」と呼ばれる狭い通路で圧迫されることで起こります。
腕を上げる動作、例えばつり革を持つ、洗濯物を干すといった場面で、腕のだるさやしびれ、痛みを感じるのが特徴です。
特に、筋肉量が少なく首が長く見える、なで肩の体型の人に発症しやすい傾向があります。
長時間のデスクワークや猫背などの悪い姿勢も、首や肩周りの筋肉に負担をかけ、症状を誘発したり悪化させたりする一因です。
しびれのほか、腕に力が入らない、手が青白くなるといった血行障害の症状を伴うこともあります。
手首の神経圧迫が原因の「手根管症候群」
手根管症候群は、手首にある骨と靭帯に囲まれた「手根管」というトンネル内で、正中神経が圧迫されることで起こる疾患です。主な症状は、親指から薬指の半分にかけての指のしびれや痛みで、特に夜間や早朝に症状が強くなるのが特徴です。
初期症状はしびれが中心ですが、進行すると親指の付け根の筋肉が痩せ、物をつまむ、衣服のボタンをかけるといった細かな動作が難しくなります。
原因は肩こりと直接関係ありませんが、手や指の不快感から無意識に腕や肩に力が入り、結果として肩こりを併発するケースも見られます。
手をよく使う仕事の人や、妊娠・出産期、更年期の女性に多い傾向があります。
脳や内臓の病気が隠れているケースも
まれに、肩こりや腕のしびれが整形外科的な問題ではなく、脳や内臓の病気のサインとして現れることがあります。
例えば、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害の前触れとして、突然のしびれやろれつが回らない、体の片側の麻痺などが起こる可能性があります。
また、心筋梗塞や狭心症といった心臓の病気では、左肩や左腕に広がる痛み(放散痛)として症状が出ることが知られています。
これらの病気は命に関わるため、経験したことのない激しい痛みや、しびれ以外の症状を伴う場合は、すぐに病院を受診するか、救急車を呼ぶなどの対応が必要です。
つらい腕のしびれを和らげる!今日からできるセルフケア3選

腕のしびれを伴う肩こりの多くは、日常生活での姿勢や習慣が影響しています。
本格的な治療が必要な場合もありますが、まずはセルフケアで症状の緩和を目指すことが可能です。
筋肉の緊張を和らげ、血行を促進するケアを日常に取り入れることで、症状の改善が期待できます。
ただし、強い痛みがある場合に自己判断でマッサージなどを行うと悪化する恐れもあるため、症状が続く際は医療機関に相談しましょう。
デスクワーク中に意識したい正しい姿勢
デスクワーク中の姿勢は、肩や首への負担に直結します。
正しい姿勢を保つには、まず椅子に深く腰掛け、足裏全体が床に着くように高さを調整します。
骨盤を立てるように意識し、背中が丸くならないように背筋を自然に伸ばしましょう。腰と背もたれの間にクッションを挟むのも有効です。
パソコンのモニターは、目線がわずかに下がる程度の高さに設定し、顔との距離を適切に保ちます。
キーボードを操作する際は、肘の角度が90度くらいになるように机や椅子の高さを調整すると、肩への負担が軽減されます。
定期的に立ち上がって体を動かし、長時間同じ姿勢でいることを避けることも大切です。
肩周りの血行を促す簡単ストレッチ
固まった肩周りの筋肉をほぐし、血行を改善するためには、仕事の合間にできる簡単なストレッチが効果的です。
まず、両肩をゆっくりと耳に引き寄せるようにすくめ、数秒間保持した後に力を抜いてストンと下ろす動作を数回繰り返します。
次に、体の後ろで両手を組み、肩甲骨を中央に引き寄せるように意識しながら胸を開くストレッチも、肩周りの筋肉を伸ばすのに役立ちます。
首をゆっくり前後左右に倒したり、回したりする動きも、首から肩にかけての緊張緩和につながります。
痛みを感じない、心地よい範囲で行うことが重要であり、このストレッチを習慣化することで症状の予防も期待できます。
体を温めて筋肉の緊張をほぐす
体を温めることは、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげるのに有効な方法です。
38~40℃程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かる入浴は、全身の血流を改善し、リラックス効果も期待できます。
時間がない場合は、蒸しタオルや市販の温熱シートなどを首や肩に直接当てて温めるのもよいでしょう。温めることで血管が広がり、筋肉にたまった疲労物質が流れやすくなります。
ただし、急性の炎症による痛みや腫れがある場合は、温めると症状が悪化することがあるため注意が必要です。
セルフケアはあくまで一時的な対処法であり、症状が改善しない場合は専門的な診断や治療を検討してください。
まとめ

肩こりと共に現れる腕のしびれは、日常生活での姿勢の悪さや筋肉の緊張が主な原因となることが多いです。
しかし、時には首の骨の異常や神経の圧迫、さらには脳や心臓の疾患といった重大な原因が隠れている可能性も考えられます。
例えば、頸椎椎間板ヘルニアや胸郭出口症候群、手根管症候群などが挙げられ、これらはしびれだけでなく、痛みや筋力低下を引き起こす場合があります。
セルフケアとして、正しい姿勢を意識したり、肩周りのストレッチを行ったり、体を温めたりすることで、症状の改善が期待できます。
しかし、これらのセルフケアを試しても症状が改善しない場合や、悪化するようであれば、速やかに医療機関を受診することが非常に重要です。
医師による精密な診断を受け、適切な治療を開始することが、症状の根本的な原因を特定し、改善へとつながる最善の道となるでしょう。


